「ネコの家に行った女の子」
『子どもに語るイタリアの昔話』こぐま社

暑くなってくると、毎年語っている おはなしです。
特定の季節の おはなしではないのですが、
泉の中に入っていくと ガラスでできた階段があり、そこを降りていくと…
という おはなしなので、少し涼やかな気分になります。

今年も、年長さんに、そして２年生のクラスでも語りました。

とても優しくて働き者の女の子は、子ネコの仕事を助けてあげるのですが、意地悪で怠け者の女の子は、子ネコの仕事を助けるどころか 嫌がられることばかり しでかします。
当然、優しい女の子にはご褒美が、意地悪な女の子には 報いが与えられます。

ある年長さんの女の子は、意地悪な女の子の悪事の一つ一つに ニヤリとして聞いていました。
「そんなこと、しちゃいけないんだー！」と思いながらも、現実で してはいけないことを 物語の中でやってしまうところが、少し楽しかったのかもしれません。

２年生のクラスでは、驚いたり笑ったりする場面ごとに、周りの子たちと目を合わせて、その時の自分の気持ちを お友だちと共有しながら聞いてくれているようでした。
ストーリーテリング（語り聞かせ）は、耳で聞いたおはなしを 自分の頭の中で想像しながら楽しむ、とてもパーソナルなものですが、お友だちと一緒に聞くと、共に冒険している気分にもなるのでしょう。

＊　＊　＊

幼い頃から ストーリーテリングのおはなしを聞いて 大人になった女の子が、子どもの頃一番好きだった おはなしとして、このおはなしを あげてくれました。
「みんなが知っている 普通の地上の世界ではなく、自分だけが知っている 泉の中の別世界に行く冒険が 楽しくてワクワクした！ 子ネコが たくさん出てきて かわいいし！」なのだそうです。

大人になっても覚えている 子どもの頃の気持ちー
おはなしを聞いて感じたワクワクを、大人になっても覚えていることを知って、語り手として とても嬉しく思いました。